11月5日~9日までオーストラリアのシドニー大学とタスマニア州の農場にロータリー式の搾乳ロボットを見学に行ってきました。
シドニー大学では約400頭の搾乳牛を放牧していて、牛は好きなタイミングで自分からパーラーに入って搾乳されます。
搾乳後、パーラーから出ると自動給餌機から配合飼料が給餌されます。牛は配合飼料が食べられるので、牛追いをしなくても自らパーラーに入り、配合飼料を食べ終わると牧草地に帰っていきます。
ほぼ24時間パーラーは回っていて、何か異常が起こるとケータイ電話に通知が来るというシステムになっています。搾乳作業はロボットがしてくれるので大幅に人員が削減できるというのが最大のメリットです。
オーストラリアは人件費が非常に高く、農場を経営する上で一番ネックになる部分なので、世界でも早くロータリー式の搾乳ロボットが導入されたのは納得です。
タスマニア州の農場にも見学に行きました。
シドニー大学のパーラーと同じ24頭搾乳のパーラーが導入されています。
この農場では600頭の搾乳牛を160haの牧草地に放牧しています。
一番遠い牧草地はパーラーまで2kmありました。
牛はこの距離を平均して一日2回配合飼料を食べにパーラーまで歩いてきます。
子牛に飲ませるためのミルクや出荷出来ないミルクは、1日2回、別のパーラーに誘導して搾乳します。
この規模の農場を2人ずつの二交代で勤務されていたので驚きました。
今回見学したロータリー式搾乳ロボットは2009年に開発されたもので現在も改良が進んでいるらしいですが、現時点で実際にこれだけ人数を削減して稼働していることにロータリー式搾乳ロボットの可能性を感じさせられました。
オーストラリアのBlue Mountainにあるbell tree牧場にも見学に行きました。
この牧場は黒毛和種の繁殖肥育一貫で経営されていて、鈴木さんという方がオーストラリアに和牛を広める為に作られた牧場です。
鈴木さんは日本と同じ肥育方法で本物の和牛を育てられていますが、オーストラリアでは和牛とアンガス種などの別の種とを掛け合わせた交雑種もWagyuとして売り出されています。
鈴木さんは他のWagyuに和牛が紛れてしまうことを懸念されて、Blue Mountains Wagyuと言う名前で差別化を図り、売り出されていました。実際にレストランで、Blue Mountains Wagyuを頂きましたが、肉質やサシの入り、肉の香りや味どれをとってもWagyuとは異なり、日本で食べる和牛同様、大変美味しいものでした。
今後も本物の和牛を育てて和牛ブランドの価値を守って頂きたいです。