〇患畜プロフィール、主訴、稟告、現症
・H29.9.19生まれ
・黒毛和種 オス
・生後2日目において、介助にて起立可であったが3日目から起立不能となった
・特に後躯の負重が弱く後躯麻痺が疑われた
・元気活力は良好であった
〇治療経過、検査
・ウイルス遺伝子学的検査は異常なし
・デキサメタゾン投与による反応なし
・神経学的検査による異常なし
・両後肢の大腿骨頭が触知されることにより寛骨臼にうまくはまってないことが疑われ、レントゲン検査を行った
・画像より大腿骨頭の扁平化と寛骨臼の異形成が認められた
・予後不良と判断し、病理解剖に供した
〇病理解剖所見
・解剖所見
①左股関節:大腿骨頭関節面粗造、炎症性繊維素析出
②右股関節:股関節周囲水腫、大腿骨骨頭関節面変性・粗造、炎症性繊維素多量に析出
③脳:脳室の拡張及び脳脊髄液貯留
・病理学的検査
右の骨頭では骨頭表層軟骨にびらんがみられ、繊維素の析出および炎症細胞の浸潤が見られた。関節包には出血、繊維素析出、好中球を主体とする炎症細胞の浸潤が見られ、間質の水腫が見られた。左の骨頭については骨頭表層の骨質の1部に変性がみられ、滑膜には小血管の増生、繊維素の析出ならびに間質の水腫が見られた。病変は右側で強く、左側で軽度であったものと思われる。脳においては、橋及び小脳の神経網に空胞が散見された。
〇診断
上記のことから、本例を股関節形成不全と診断する