8/21松永牧場の13ヶ月齢の去勢肥育牛が元気がないということで、診てみると腹囲が膨満して陰毛が乾いていて排尿をした痕跡が無い様子。直腸検査をしてみると干し柿状の膀胱を確認、下腹部を穿刺してみると尿とおぼしき黄色の液体を採取したため、膀胱破裂と診断早速手術です。
だけどこの術式、牛を仰臥させて行なうのですが、体腔の深い牛になると、術創外に破裂した膀胱を誘導することが大変難しく、大概腹腔内での手縫いになってしまうことが多いのです。これが実に大変。そこで、臍から陰嚢までペニス包皮の横を旁正中に切皮し、正中線を切開、腹膜を恥骨前縁ギリギリまで切開し術創を確保してみました。
腹膜を切開すると同時に、腹腔内に漏れ出していた大量の尿が流れ出てきました。そして、破裂した膀胱の縫合です。術創をかなり後ろ目にとったこともあり、何とか膀胱が創外に出てきました。直径約1cmの破裂箇所を認め無事縫合しました。皮膚も縫合し、術式は完了ですが、ここからもう1R。
というのは、尿通がないので、新たに尿の出る穴を作ってやらなければなりません。折れそうな心を奮い立たせて、頑張ります。病気の牛が一番苦しいのですから。肛門下30cmの内腿の間の皮下にあるペニス切開し、尿道瘻を外側に作ってやります。術式を完了し排尿を確認し、膀胱内にカテーテルを留置し全て終了です。
牛にもかなりのダメージのある病気、手術ですが、8/25現在食欲はいまひとつですが、排尿もあり牛は頑張っています。我々もそれに答えるべく治療管理をしていきたいと思います。
ゲッ、マジ~、今度は膀胱破裂かよ~
2008.08.25|カテゴリー:診療日誌