12/3のA.M.6:00に足立Vetより
「メイプルで助産していますが、胎仔がかなり大きく、肢を牽引したらちぎれてしまいました。」
と連絡がありました。胎仔が死亡して時間が経ち、腐敗菌により皮下にガスが貯留している気腫胎と呼ばれる状態です。母牛は子宮内で腐敗が進み、腐敗産物の吸収で中毒に陥りでショック状態であると思われ、早速、帝王切開の準備です。我々の診療業務は松永牧場に朝から行って子牛等の、病気に弱い牛のチェックから始めるのですが、すべて後回しです。
妊娠子宮は左の子宮角との記録があり、第一胃を避けるため、左側肋骨に沿った約40cm後下方を切開します。程なく胎仔を含んだ子宮が現れてきました。しかし、術創に腕を差し入れ、子宮を創外に持ってくることができません。胎仔が大きくびくともしません。術創から少し露出しているところで、子宮を切開し胎仔を娩出しなければなりません。腹腔内に汚染された胎水が入り込み、腹膜炎が心配されますが、仕方ありません。消毒したタオルで子宮を包み込み、切開します。胎仔の肢をチェーンで確保し牽引しますが、出てきません。術創を広げ、やっと娩出されてきました。
その胎仔は、体が2倍以上に膨れ上がり、先天的奇形なのでしょう、ブルドック様顔貌を呈しており、カメラも常時用意していますが、とてもWEB上に公開できるものではありませんでした。さらに、驚いたことにもう2体の死亡胎仔も娩出されてきました。
後は母牛の命を救ってやることに、全力を注ぎます。腹腔内を抗生剤で充分に洗浄してやり、創口を素早く縫合します。術式完了ですが、母牛は全身性ショックで表情も虚ろで、起立しません。心拍出量を確保し、全身血流量を上げてやらなければないけません。そこで、高張食塩液を投与してやります。おが屑をたっぷりと敷いてやり、そこに座らせ安静にしてやります。
程なくして、自力で起立し12/5現在食欲もあり、元気にしています。
昼までのの半日かかってしまいました。
残っていた診療を済ませ、夜はメイプル牧場の総会の打ち上げでした。
我々の飲み会はほろ酔いで終わることはなく、毎回深酒です。
いつも翌日後悔します。
翌12/4、二日酔いでやや体の重たい我々を待っていたのは………。
濃い2日間。ふぅ~っ。
2008.12.05|カテゴリー:診療日誌