5800頭の飼養頭数を誇る松永牧場から車で10分程度離れた所に、「後谷分場」があります。本場が肥育牛を飼養しているのに対し、分場は繁殖母牛を飼養し、子牛を生産しています。平成14年3月より稼動しています。
飼養されている繁殖和牛は未経産牛も含め現在763頭おり、2008年の一年間で704頭の子牛が生産されました。平均空胎日数はここ数年間常時70日前後で、ほぼ1年1産を実現しています。子牛の総生産頭数対する流産も含めた事故率(子牛が下痢、肺炎等で病死する事も含む)は1%もありません。
通常、分娩は分娩房という個室が用意されそこで行われ、子牛は生後7日まで親牛と同居し、その後離乳し、ハッチにて人工哺乳されます。そのハッチにて4~5週間飼われた後、哺育ロボットのある哺育ステーションというペンに30頭単位で飼養されます。
その哺育ステーションで約3ヶ月齢まで飼養された後、育成牛舎に移され9ヶ月齢まで飼われた後、肥育素牛、もしくは繁殖素牛に供されます。
こうした繁殖の好成績を支えている要素はいくつかあります。
先ず第一に、生後7日での早期離乳をすることにより、母牛が泌乳によりホルモンバランス崩れたり、栄養がとられることがないので、産後発情の回帰が早く強く現れます。
第2には、分場は飼料コストを低く抑えるため、粕を主とした産業廃棄物を利用していて、中でもキューサイ絞りかすを牛に与えていることです。ビタミンA・カロチン源として、実に魅力的な飼料で、繁殖機能に大きく関与しているでしょう(写真は野菜屑のかぼちゃが混ざっていますが)。
そして最後が一番肝心で、人的財産に恵まれていることでしょう。従業員のみなさんは発情発見から種付、病牛の発見、夜間宿直での分娩監視・介助など仕事は多岐にわたり、春夏秋冬、骨惜しみなくやってくれます。他のメガファームでも即戦力となりうると思います。
こうした要素が重なり合って好成績を生み出しているといえるでしょう。
全国屈指の優良和牛繁殖牧場 “松永後谷分場”
2008.12.24|カテゴリー:診療日誌