寒冷ストレスから子牛を守れ!!ビッグハッチの巻

 冬場で生産者を悩ます事のに一つ子牛を寒冷ストレスから守ってやらなければならないことです。子牛は生来、体組成の中でも体脂肪の割合が低く、つまり寒冷時に体脂肪をエネルギーに利用することが出来ません。人工哺乳においても、ミルクの量や回数を増やしたり、スターターを摂食し易くする工夫をするのですが、和牛の初産の仔で体重が25kgにも満たない虚弱な子牛はなかなかそうはいきません。
 
 松永牧場の後谷分場では和牛生産する上でこのことが重要な問題でした。
 哺乳担当の方の献身的な飼養のおかげで、4週齢までのハッチ飼養はクリア出来ても、次の哺育ステーションで寒冷ストレスに晒され、命を落とす子牛や、朝の見回りで低血糖による思われる昏睡状態で発見されるケースが、我々が開業する前は何回か見られました。又、死なないまでも寒冷ストレスに晒された牛群は採食行動が積極的でなく、DG(1日の増体量)が伸びませんでした。
 そこで4年前、我々はステーションの中に、風除けと暖房器具の設置を目的とした避難スペースを設けることしました。牧場のユーティリティーな存在の加田さんに口頭で「こぉーんな感じで」伝えたところ、思い描いた通りのもの造ってくれました。フォークリフトのツメが差し込めるように設計されているので、運搬・設置がとても楽です。(加田さん、凄い)
 設置されてないステーションは下の写真のようですが……。
2009_02070039.jpg
 ビグハッチを設置すると……
2009_02070038.jpg
 こんな感じです。写真の奥が北側になり、寒風の侵入をコンパネ板が防いでくれます。夜になると……
2009_02070050.jpg
 みんなで暖かく団欒しているようで、何だかかわいいですね。
 今シーズンで4シーズン目ですが、設置を境に事故は一切なくなり、採食行動は活発でDGは高くなりました。いよいよ囲ってしまうと、換気が悪くなり呼吸器疾患が蔓延する恐れがありますが、2方向開放されており、その様な事にはなりません。
 
 冬の季節は直接的に採食させなくても、環境を整えてやるだけで、基礎代謝エネルギーに消費される体蛋白の損耗が抑えられ、結果的にエサを与えなくても、増体にいい影響があるようです。

▲ページの先頭へ