「307」 「45」
上記の数字の前者は、先日、読売新聞ニュースで伝えられた、去年2008年に全国の警察が摘発した児童虐待の件数で、後者は死亡した子供たちの数です。2007年に全国の児童相談所に寄せられた児童虐待の事例は4万件を超えるそうです。その他、摘発されず今日もどこかで親たちの虐待に怯え、泣いている子供たちが無数にのぼると思われます。
憤怒を覚えます。
知性・理性共、我々人間よりも劣るとされる牛は、時に人間よりも遥かに深い親子の情愛を見せてくれます。
県内で実際に起こった牛舎火災での話です。
子牛を連れた親牛が飼われていた牛舎で不幸にも火事が発生しました。親牛はほうほうの体で外に逃げ出してきました。が、子牛がいないことに気付くと、燃え盛る牛舎に我が身を省みず戻って行き、敢え無く2頭共焼死してしまいました。
又、別の牛舎火災の話では、牛舎の戸に鍵が掛かっており、親牛子牛共焼死してしまいましたが、親牛は子牛に火の手が及ぶまいとしたのか、子牛をかばい、覆い被さるような形で発見されたそうです。
「種を保存するために本能でしたのだ」と言われてしまえば身も蓋もない話ですが、児童虐待という醜行を見るに付け、先ず、恥すべきなのは人間の方です。
数年前の虐待事件で、子供が餓死したケースでは、保護された時「おなかすいた」という言葉を残し、絶命したそうです。末期の言葉が「おなかすいた」だなんて(怒!)。
家畜の「畜」という字は、「畜産・牧畜」といった動物を飼うという意味の他、「鬼畜・畜生」といった「けだもの」という意味もあります。
しかし、家畜と人間でどちらが「けだもの」と称せられるに相応しいかは、もはや言わずもがなですね。
今日は診療の現場からではありませんが……。
2009.03.02|カテゴリー:診療日誌