私たちは、これまで数多くの難産を経験してきました。近年、増体のいい種雄牛の台頭や、又、IVF(対外受精卵)の普及に伴ない、胎仔が大きくなる傾向にあり、中には60kgを超え70kgに達する胎仔もいます。(通常は35kg程度。)
メイプル牧場の開業により、経産牛に比べ、フレーム(体格)の小さい初産牛の分娩がすべてで、大きな胎仔に遭遇することもしょっちゅうだったため、難産率は高かったです。
その難産の現場で、我々は就業以来、盲目的に産科チェーンを使用してきたのですか、胎仔の前肢に無理な荷重がかかるため、中手骨を骨折するケースがみられ(「お前のやり方がわるいのだよ」と言われそうですが)、布製(ナイロン)の産科バンドに代えてみました。
と同時に、助産器としてカウヘルパーも試してみることしました。
ラチェット式ガッチャの付いた助産器も使用したこともありますが、こちらの方が牽引がマイルドで、産道の拡張に同調する感じがするのです。(飽くまでも個人的感想ですが。)
助産器に疑心暗鬼でしたが、これなら少々胎仔が大きくても、大人2名いれば十分です。
その他、酸素吸入器も使っています。仮死で娩出されてくる胎仔は、100頭のうち1~2頭あるかないかですが、蘇生率はいいようです。
そして我々は、今日この時間も難産助産の要請に、24時間365日準備OKです。
やっぱりいいかも……。カウヘルパー、産科ベルト編
2009.03.03|カテゴリー:診療日誌