10月29、30日の2日間、山口県にて中国地区獣医学会が開催されました。
『ホルスタイン種初産産子におけるBVDV持続感染牛の摘発率』と題し発表してきました。
H22年度中国地区獣医学会で発表したBVDV持続感染牛(PI牛)の疫学調査に基づき、初産産子の全頭検査を行い、
その結果をまとめました。
本試験より、ホルスタイン種初産産子のPI牛産出率が推定され、初産産子を選抜する検査方法の有効性が確認されました。
牧場内のBVDV清浄化、新たなPI牛の産出防止のため、今後とも本検査を継続して行っていきます。
以下、抄録と発表ファイルです。
ホルスタイン種初産産子におけるBVDV持続感染牛の摘発率
○嶋田浩紀、長崎雄太、下永満展、足立全、岸本昌也、加藤大介
発表者所属:(株)益田大動物診療所
1.はじめに:我々は、平成18年度中国地区獣医学会において大型繁殖肥育一貫農場における、BVDV持続感染牛(PI牛)の摘発、場内における浸潤状況を調査し、その概要を報告した。さらに、平成22年度中国地区獣医学会において、ワクチネーションによるPI牛発生防止対策、加えて、PI牛における疫学調査を実施し、第2報として報告した。第2報の疫学調査に基づき、初産産子の全頭検査によるPI牛の摘発を続け、平成22年11月~平成24年6月までに15頭のPI牛を摘発したため、その概要を報告する。
2.材料および方法:平成17年4月~平成23年3月まで、本診療所が摘発したPI牛27頭の疫学調査に基づき、PI牛摘発の為の検査対象牛を初産産子とした。①肥育農場であるA牧場において、平成23年4月~平成24年6月まで、哺育子牛導入時、初産産子592頭を対象に、血清を用いRT-PCR法にて検査を実施した。②平成22年11月~平成24年6月まで、酪農農場であるB牧場において、外部導入をした初妊牛について、分娩後、その産子605頭を対象に、血清を用いRT-PCR法にて検査を実施した。
3.成 績:①A農場における592頭の導入時検査において2頭のPI牛が摘発された。検査総数に対する検査陽性率は0.3%であった。②B農場における初産産子605頭の検査において12頭のPI牛が摘発された。検査陽性率は2.0%であった。また、初妊牛導入時の検査において、PI牛である初妊牛が1頭摘発された。
4.考 察:産歴からPI牛の疑いがある牛を選抜し、検査を実施することで、より効率的にPI牛を摘発、淘汰することが可能と考えられる。B農場における初産産子605頭の検査陽性率が2.0%であることより、初妊牛におけるPI牛産出率も同程度と推定される。A農場における検査陽性率が0.3%とB農場と比較し低い要因は、A農場における検査対象牛が市場上場された哺育子牛であり、市場上場までの期間における死亡、疾病罹患等による淘汰、購買者による選抜により摘発率は低くなったと考えられる。