昨日(12/4)の帝王切開の疲れと、昨夜の飲酒でやや体が重かったですが、平常の診療業務をこなし、昼からは益田市匹見町の河本牧場で肥育中期の雌牛の第四胃左方変位のOPEです。
何とか終わらせ診療所に帰還すると間もなく、メイプル牧場の下瀬君から助産の依頼のTELがありました。やや彼の声質が気になりつつ車を走らせ、現場に付くと、早速膣に腕を差し入れ内診します。入れた瞬間、「(膣から)出ないんじゃないか。」と思うくらい胎仔が大きかったのです。聞けばこの牛、初産で分娩予定日から2週間過ぎており、胎仔はIVF(体外受精卵)とのこと、難産の可能性が充分過ぎるくらいです。
母牛のフレーム(骨格)が大きめだったので、ブロサポ(人工羊水)を注入し、胎仔の頭部にワイヤーを掛け、牽引を試みますが、牽引と同時にが母牛が苦しみだしたので、又胎仔の生命反応もあるので、帝王切開に転換です。
応援を呼び、術式の準備です。右の妊娠角に受胎しているとの記録ですので、牛を左側横臥させ、最後肋骨に沿って後方約30cm切開します。子牛は生きていますが、時間が経つと救命率が下がってきますので、素早い技術が求められます。
昨日の帝王切開と違って、子宮も弾力がありフレッシュなので、何とか創外に子宮を露出させることができました。すぐに子宮に切開を入れ、胎仔を引き出します。
仮死状態で娩出され、冷や汗が出ましたが、鼻腔からの胎水の吸引・刺激により、程なく自力呼吸を始め、ホッと一安心です。
やはり、感染が恐いので腹腔内を充分に抗生剤で洗浄し、術創を縫合します。
帝王切開への変更の判断が早かったためか、12/5現在親仔共元気です。
すべて終わったのが、6:00を回っており当たり前のように真っ暗でした。
その晩は達成感もあり、安心したのか泥のように眠りました。
濃い二日間。終わらない一日。
2008.12.06|カテゴリー:診療日誌